▮経営基盤の安定
グループとしての経営基盤が安定しています。もともと利益重視型の企業である上に、持株会社である株式会社リクルートホールディングス(6098)が東証一部に上場したためです。その中でメガベンチャー的気質を残している点、風通しがいい点は稀有であり、採用力があり、人を育てる文化があります。また、会社のDNAに変化し続ける力があるので、これからも躍進すると思います。
▮強固なリクルートブランド
リクナビ・リクルートエージェント等、すでに強固なブランドがあるため、営業活動がスムーズに運ぶことが多いです。新規飛込み営業をした先で、「そろそろ御社のサービスを入れようと思っていたんだよ」と言われたことも1度や2度ではありません。顧客企業の網羅性があり、法人、求職者共に、一番多くのでDB量を誇ります。民間企業でありながら、ある意味公共機関のような側面もあり、長年のブランド力への信頼は、やはり強みと言えると思います。
▮圧倒的な新卒事業
新卒事業においては、業界一位の実績を持つリクナビを主体として学生の支持を受けていることが強みです。また営業はHRの課題を本質的に考える社内トレーニングを受けているので、より課題の大きなお客様にとっては価値がある存在となっています。また最近では採用の母集団形成領域~入社後の領域までを扱うような営業スタイルになっているので、より広範囲をコンサルティングできるようになっています。
▮上場した大企業としての弱み
大企業になってしまったため、少しずつポジションの入れ替わりが起きにくくなってきました。実力がとびぬけている人材は大抜擢が起こりやすい会社ですが、そうでない人はグレードを上げることが大変になった印象です。上場してヤンチャさがなくなったと言われますが、ヤフーや楽天にどう立ち向かっていくか、経営手腕が問われています。
▮守りの姿勢
すでに存在しているブランドを守っている感が拭えません。新たな事業、事業の拡大には及び腰に感じます。また、何でも社員の営業力で勝ちにいく戦略しか描けていないため、競合他社の方が戦略的な動きをしていることが多いです。
▮ノウハウの蓄積不足
離職率が高く人材の流動性が高いため、社としてのノウハウの蓄積が弱いです。システマチックな要素が無く、優秀な人材を獲得し続けることで属人的に業務を回している状態です。短期的かつ変化の激しいビジネスには強いですが、長期的な戦略を要するビジネスの場合、盤石な体制が組めません。
▮ITと営業力
全体的にITに弱い印象があります。基本的に情熱と営業力で仕事をしてきたタイプの方も多いため、若干根性論に走るところも否めず、ITに頼るのを嫌う節があります。また、巨大化してしまったが故に、各種媒体のリニューアル等もしづらく、結果的に同業他社よりもUI面で劣るWEBサイトになってしまっているサービスが見受けられます。エンジニアの方は優秀なのに勿体無いと思うところではあります。
▮景気に左右されやすいビジネスモデル
マッチングビジネスから根本的に脱出しておらず、モデル的に景気に左右されやすいです。リーマン・ショック時は大々的な足切りが行われたので、次のバブルがはじけた後も恐らく同じ事をすると予想しています。
▮事業展望
人材系業界の中では同業他社と比較しても安泰だと思います。ただし、業界自体がある程度成熟している上、人口減少トレンドなので、従来通りのマネタイズを既存事業で行えるかは疑問です。また、総合力で勝っているものの、それぞれの分野ではNO.1になれていないものが多く、結果的にシェアを落としてしまうのではないかという不安はあります。衰退まではいかないにしろ、今後の大きな成長は望めず、多角的に展開している新しいグループ事業(ビッグデータを活用した新たなサービス等)により将来が決まるのではと考えています。最近では、不得手だった海外進出を「買収」という形で実現しているため、グループとして身体を大きくし、世界で盤石な基盤を図るイメージです。