リクルートが副業や隙間時間での仕事探しを支援するネットサービスに力を入れている。2分程度の短時間から近所で副業ができるサービスを関西でも始めた。副業希望者と企業をマッチングさせるサービスはイベント開催を増やす。副業への関心が高まる中、関連サービスを拡充して手数料収入の増加につなげる。
展開エリアを広げたのは簡易業務の仲介サービス「エリクラ」。リクルートの社内起業制度の一環で2018年夏に始めたサービスで、リクルートが企業から受託した数分から数時間単位でできる簡単な仕事を、専用サイトの地図に表示する。
仕事を探している個人は、スマートフォンやパソコンから好きな仕事を申し込む。マッチングはネット上で完了し、個人が企業から業務を請け負う契約だ。
スマホなどで撮影した写真をサイトに送信して、請け負った仕事が完了したことを報告する。その後、企業は個人に報酬を支払い、リクルートはその一部を手数料として得る。業務はマンションやアパート共用部の清掃業務やレンタカーの洗車業務など多岐にわたる。
昨年夏に東京都狛江市でサービスを開始して好評だったため、今年2月に東京都や神奈川県、埼玉県の一部に事業エリアを拡大。今秋から関西エリアにも事業領域を広げた。現在180カ所の地域で仕事を紹介している。利用者は20~40代の女性が中心だ。
専門技術を持つプロフェッショナル人材の副業支援「ビズグロース」にも力を入れる。同サービスはエリクラ同様に新規事業制度で採用されたサービスで、18年夏から実証実験を進めてきた。
データマネジメントや広報、経営企画など「仕事メニュー」から簡単に仕事を受発注できる。メニューには仕事ごとに概要や業務の流れ、業務範囲などがまとめられており、副業を探している人が選びやすいようにした。
これまでネットを通じたサービス展開が中心だったが、9月28日に同サービスとして初となるマッチングイベントを東京都内で開催した。副業希望者と静岡県内の企業が参加した。今後もビズグロースのイベントの開催を検討するという。
近年は個人事業主やフリーランス、隙間時間に働く「ギグワーカー」が増えている。クラウドソーシング大手のランサーズ(東京・渋谷)によると、兼業・副業を含む広義のフリーランス人口は19年に1087万人と15年比で19%増えた。
リクルートは隙間時間で働くことができる仕組みや、副業先を探しやすくする環境を整えることで、企業の生産性向上につなげたい考えだ。