リクルートのDNA―起業家精神とは何か (角川oneテーマ21)(江副 浩正)


リクルート創業者がどのように成功し、そして失敗したのかを知りたいと思って読んだ。
成功の理由は、利益率が高い広告ビジネスモデルを最初に開拓し、その地位を守ったこと。
さらに「自ら機会を創り出し、機会によってみずからを変えよ」と革新的な理念を掲げ、変化に挑戦することを奨励し、実践したこと。
反面、会社が成功し、本社ビルを次々と建設する、政府系の委員などを歴任するなど会社や社長個人が公に露出することが増えてきた。
さらにリクルートのビジネスモデルが新聞社の広告顧客を奪うことになり、上記のような環境下でリクルート事件を引き起こしてしまったことが文脈から読み取ることができる。
創業、成功までの苦労と喜びはあるものの、経営者とは孤独な職能である。
ただし、その引退後リクルートのDNAは受け継がれ、後進の諸氏が様々な分野で成功していることが氏の矜持としてうかがえる。
成功している組織は何を大事にしているのか、稀代のベンチャー起業家である氏に学ぶところは大きい。